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執筆者の写真litruslaw

Q 企業に責任を問うことができますか?

多くの裁判例が、1958年ないし1960年頃以降、使用者として、労働者の石綿粉じんばく露対策を怠った企業の責任を認めています。被告企業は、石綿製品の製造・加工業はもちろん倉庫業、運送業、建設業、造船業、電力、自動車、鉄鋼、化学プラントなどあらゆる産業に及んでいます。国や建材メーカーである企業の責任と併存する場合もあります。すでに裁判例が集積し、一定の賠償水準が明確になっていることから、訴訟外の交渉ないし訴訟上和解によって、一定数の被害者が救済されていると考えられる。また、既述のとおり退職後に発症した場合も対象とした企業内上積み補償制度を確立している企業もあります。


   建材メーカーである企業は最高裁判決後も係属中の訴訟において全面的に争っています。建設アスベスト被害の救済には、国だけでなく、すべての建材メーカーに資金拠出させるべきであり、その補償の在り方は今後の重要課題です。もっとも、すでに最高裁判決によって10社の責任が確定しており、司法救済の道筋はついています。当面は、係属中の訴訟や新たな訴訟の判決によって、建材メーカーである企業との関係でも救済の進展が期待されます。


    これまでの企業責任追及の裁判例では、死亡慰謝料で2,500~3,000万円、闘病中の方の慰謝料は病名に応じて1,000万円~2,300万円程度が認められています。ただし、事案に応じて変わります。


   労災給付とは別に支払われる賠償金ですから、慰謝料を受領することで労災給付が減ることはありません。


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