びまん性胸膜肥厚とは、肺を包む胸膜が線維化し厚くなる病気です。通常、肺は柔らかく、呼吸することによって肺が膨らみます。しかし、胸膜の線維化が広がると、肺の表面が厚くなり、硬くなり膨らまなくなります。そのため呼吸しにくくなり、息切れなどの症状が現れます。
胸膜は二重の構造になっており、肺を覆う膜を臓側胸膜、外側の膜を壁側胸膜と呼びます。
びまん性胸膜肥厚は臓側胸膜が線維化する病気ですが、通常病変が壁側胸膜にもおよび、臓側胸膜と壁側胸膜が癒着している状態がほとんどといわれています。なお、胸膜肥厚斑といわれる胸膜プラークは壁側胸膜の病変で臓側胸膜との癒着はありません。
びまん性胸膜肥厚は、胸膜プラークに比べるとアスベストばく露が原因で発症するということではなく、結核性胸膜炎や、リウマチ性疾患など様々な原因でも発生します。
アスベストが原因で発症したびまん性胸膜肥厚の場合、比較的高濃度のアスベスト累積ばく露により発症すると考えられており、潜伏期間が30~40年ほどといわれています。職業性ばく露では、ばく露期間が3年以上のケースがほとんどです。そのため、建設アスベスト給付金制度では著しい呼吸機能障害を伴うびまん性胸膜肥厚の方でアスベストばく露期間3年未満の場合は給付金の10%が減額になります。
症状は息切れ、呼吸困難があげられます。また、胸の痛みや肺炎などの呼吸器感染が起こることもあります。
現在のところ、びまん性胸膜肥厚を根本から治療する方法は見つかっていません。症状が進行し、酸素吸入が必要な場合には在宅酸素療法等が行われます。
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